応募資格はこちらで決めます---その3

外注先が決まらないまま、社内での執筆も検討しなくてはと考え始めた頃、また1通の応募メールが届いた。

今度はパズル雑誌の制作に関わっている33歳の女性からだった。住所は兵庫県宝塚市とある。応募資格には「東京近郊の方」と書いておいたのに。

どういうつもりなのだろうかとメールを読んでいくと......

「パズル制作をはじめて3年になります。ライターとしての経験はありませんが、この仕事を通して情報を読者に提供する訓練を積んでいます」

なんだ、ライターでもないのか。ますますだめだ。一体どういうつもりで応募してきたのだろう? メールにはさらにこんなことが書いてあった。

「東京近郊の方をお探しのようですが、地方にすんでいるからこそ客観視できることもあるのではないでしょうか」

応募資格はこちらで決めるもの。応募者にとやかく言われることではない。それに「客観視できること」がないから東京近郊の人に絞ったわけではない。単に打ち合わせを頻繁に行わなければならない性質の仕事だったから、物理的に近い人がよかっただけの話だ。

メールはさらに続く。なんと「ちょっぴり得意&自慢」と称した身内や友人の細々した話を書いている。要するにいろいろな職業の人と知り合いだからネタには事欠かないと言いたいらしい。

「犬を飼っています。友人がブリーダーをしているので犬ネタには自信あり」
「懸賞マニアです。10万円の旅行券を当てました」
「いろいろな会社を経験しました。伝えたい話がたくさんあります」
「以前入院したことがあるので、病気・入院ネタにも強いです。知り合いの医者や研究室の友人から話が聞けます」

私は読みながら半ばあっけにとられていた。ありとあらゆることを営業に活かそうというその根性には頭が下がる思いだが、これではレベルが低すぎる。平日昼間なら働けると書いた31歳の主婦と同様、むしろその程度しかできない人なのだと思われてもしかたない。

さて、本当に困った。やはりSOHOなんかあてにしようと思うのが間違いなのだろうか。


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