そりゃあ、腹は立ちますよ

40歳SOHOは見るからにベテランという感じの人だった。

制作中のムックで取り上げるソフトにも精通しており、4つほど前のバージョンの機能も憶えていた。私なんかよりよっぽど詳しいんじゃないかしら。そう心強く思ったものだ。

印刷所にそのまま渡せる入稿用データを作れるかどうかも確認してみた。聞くまでもないことだと思ったが、念を押しておきたかった。

「大丈夫です。いつもおつきあいしている印刷所があります。入稿作業は日常茶飯事です」

 それでは、と私は2ページほどデザインをお願いした。27歳SOHOとほぼ同時にデザインを出させ、力のあるほうにより多くの仕事を割り振ろうと考えていた。言ってみればトライアルといったところだ。

 数日後、上がってきたデザインを見て愕然とした。27歳SOHOよりひどいかも。 

データをチェックしてみたら、さらに重大なミスが見つかった。通常、カラー印刷は4色のプロセスインキで刷る。あらゆる色をそれらの掛け合わせで表現するのだ。そのため、印刷用のデータはあらかじめ4色に分解されていなければならない。分解されない色は「特色」と認識され、4色+1色で印刷されることになる。

彼女のデータにはこの4色分解の操作が抜け落ちていた。もはやデザインの良し悪しどころの話ではない。入稿用データではないから操作を省いたのか? 

彼女に至急問い合わせてみた。

電話の向こうで、40歳SOHOはしどろもどろだった。
「普段入稿作業をしている人なら、これが初歩的かつ重大なミスだとわかるはずです」

そう問いつめると彼女はこんなことを話し始めた。

「実は印刷所へはデータを渡すだけなので......不備があると印刷所のオペレーターが直してくれるんです......私はよくわからないので......」

話が違うじゃないか、それじゃ。「入稿用データまで作れます」は嘘ということか?そうとわかっていたら面接の時点でお引き取り願っていた。新しい外注を探すにしてもこの数日のロスは大きい。まったくどうしてくれるんだと言いたい。

法律情報番組で「これって罪じゃないの?」というコーナーがあるが、いい加減なことを言って、できもしないことを引き受けるのは罪じゃないのか。

そう考えるほど腹が立ったということだ。弱者としての面ばかり強調するSOHOのみなさん、どう思いますか?


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